INTERVIEW

村上さん：まずは青ノリ漁のお仕事を始めたきっかけを教えてください。

伊藤さん：うちは代々青ノリ漁を営んでいて、12月～5月までの青ノリが採れる時期は、当たり前に食卓にあがる食材なんです。青ノリの天ぷらもその中の一品なんですけど、こんなに美味しい物があったんだという衝撃を受けて、それでこの仕事をやってみたいなと思い、祖父の手伝いを始めたんです。

村上さん：ぜひ食べてみたいです。別のお仕事から漁師へ転職されたと聞いていますが、迷いはなかったんですか？

伊藤さん：全くなかった訳ではありませんが、青ノリの天ぷらを食べて感じた感動をほかの方にも知ってもらいたかったので、迷いはなかったですね。

村上さん：その衝撃を受けた青ノリの特徴を教えてください。

伊藤さん：青ノリと一口に言っても色々種類があるんですが、松川浦ではヒトエグサという品種を育てています。葉が薄く柔らかで色も良く、何よりも抜群に香りがいいのが特徴です。松川浦は東北で唯一の青ノリ漁が行われている場所で、冬場は青々としたノリ棚が浦に広がるんです。

村上さん：松川浦の青ノリの香りって、本当に幸せな気持ちになりますね。仕事に携わっていて、大変なことって何ですか？

伊藤さん：自然の中で作業をするので、どの作業でも潮の満ち引きや、風の強さなどの変化を見極めるのは経験が必要ですし、海の状況が良ければ雪や雨でも海へ出るので、そこが大変なところですかね。冬の収穫時期以外にも、片付けや次のシーズンの準備など一年中青ノリの作業をこなしながら、アサリ漁をするんですよ。

村上さん：え～年中忙しそう。けど青ノリとアサリのお味噌汁も食べれていいなあ（笑）逆にこの仕事で楽しいところって、どんなところですか？

伊藤さん：確かに年中忙しくて大変は大変なんですが、皆さんに美味しいものを届けるという気持ちで取り組めば乗り越えられるし、いい物を作ろうと一つ一つの作業を丁寧に行うのが楽しいんです。

村上さん：そんな伊藤さんが毎日お仕事をなさっている、松川浦の好きなところを教えてください。

伊藤さん：何より家の前に広がる潟湖の景色は、いつ見ても素晴らしいと思いますね。私たち漁業者にとっては青ノリやアサリを採る大切な海ですが、松川浦の環境が沖に出る稚魚が育つ場所ですし、潮の満ち引きが海の浄化に一役買っているんです。私達だけでなく生き物にとっても松川浦は大切な場所だという意味でも、いい場所に暮らしているなあと思います。

村上さん：景色が本当に素敵な場所ですよね。最後に今後の目標を教えてください。

伊藤さん：青ノリ漁が続けられ、生物たちも住める環境にある松川浦を、これからも継続して守っていこうと思っています。それも大切な仕事の一部なんだなと感じています。私を海の仕事に導いてくれた地元の味と一緒に、未来に繋いでいきたいですね。